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青島

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青島の亜熱帯性植物群は特別天然記念物です。
青島の熱帯性植物産地は天然記念物です。
青島の隆起海床と奇型波蝕痕は天然記念物です。

波の周期が10秒だとしたら1年間には約300万回。

100年では約3億回。

1000年では30億回。

10000年では300億回。

まだまだその回数や年数は人間の意識では有限の範疇でしょう。


「億劫(おっくう)」という言葉がありますが、漢字の片方の「劫」とは、天女が百年に一度舞い降りて来て四十里立方もある大岩を衣で撫でさすりその岩が擦り切れるまでの時間の長さをいいます。
つまり「億劫」は「劫」の億倍という気の遠くなるような長い時間をいいます。



青島の波状岩が海中で砂岩と泥岩が互いに層を成しながら岩になっていく過程は「億劫」の概念に近い時間を要し、地盤の変動で海上に隆起して、また波に洗われながら形を変えていく過程もまたそのような時間を要しましたものと思います。

さらに、隆起した岩盤の上の中央部にある貝殻が粉砕されてできたツチはどのようにして中央に盛り上がったのでしょうか。

最初のビロウはどうやって運ばれてきたのでしょうか。
何回の挑戦で根を下すことができたのでしょうか。

あのように群生して安定的な環境を造るのに何年の歳月がかかったのでしょうか。
寒暖を繰り返す地球の環境の変化にはどう耐えたのでしょうか。

宮崎には「よだきい」という方言があり、大概は「億劫」という意味でつかわれます。
青島は「よだきい」宮崎人にはとても及ばない地球規模の土木工事的、美術彫刻的な美しく壮大な造作物です。




青島は波状岩の周囲が約2km、中央の盛り上がったツチの部分の周囲が約800mの東西に長い楕円形をしています。

青島には4,500本とも5,000本ともいわれるビロウがビッシリと自生しています。




歌にあるように、名も知らぬ遠き島より流れ着いて繁茂した「海流帰化説」と、大昔(三千万年前〜百万年前)に地球が今より温暖な気候であった時代の生き残りであるとする「遺存説」がありますが、後者の説が有力のようです。

その場合に、地球の気候が寒冷化していく中で青島(周辺)は近くを流れる黒潮の影響で冬でも暖かい無霜地帯であり、かつ雨が多い地域で、環境の変化によって周辺の植物は温帯のものに替わっても青島のビロウは太古のままに生き残ったのです。



樹齢300年、樹高20mというビロウが生い茂る。

青島のビロウは特別天然記念物なのです。



ビロウはヤシ科の常緑高木で東アジアの亜熱帯(中国南部、台湾、など)の海岸付近に自生しています。


ビロウは、古代の天皇家においては松竹梅よりも神聖な植物で、上級貴族に許された檳榔毛車(びろうげぐるま)の屋根材にも用いられていました。
九条関白家の檳榔毛車の図解には「日向青島より取り寄せた」と書かれています。

天皇の代が替わって行う一代で一度の大祭である大嘗祭(だいじょうさい)においては、現在でも天皇が禊(みそぎ)を行う百子帳(ひゃくしちょう)の屋根材として用いられています。

日向三代の神話やそれに続く神武天皇の神話、さらに、宮廷での儀式や記紀以外の伝承などには、この青島のビロウは大いに関わりがあるのです。






青島神社は御祭神は、山幸彦の彦火々出見命(ヒコホホデミノミコト)、その妃の豊玉姫、それに塩土老翁(シオツチノオジ)の三神です。
兄の海幸彦から借りた釣針をなくしてしまって途方にくれる山幸彦に塩土老翁は海神宮(わたつみのみや)に行くことを勧めて自ら舟を作ります。
舟にそのまま乗っていれば潮が海神の宮まで運んでくれる、あとは宮の前の木の上で待っていれば、海神が良いようにはかっらてくれるから安心して行きなさいと告げるのです。

山幸彦は海神宮で海神の娘の豊玉姫とめぐりあい結ばれます。
そうして三年を楽しく過ごした後、山幸彦は兄の釣針を見つけて帰ってくるところが青島です。

昔話の浦島太郎の原型ストーリーです。

山幸彦の突然の帰りを人々は衣服を着る暇も無く海に飛び込んで迎えたと伝わり、青島地区には「裸まいり」の祭り行事が今に残っています。

社殿の前を右に細い道を進むと「元宮」があります。
古代に祭祀をしていた場所のようで、勾玉とか土器が出土するようです。

山幸彦の孫にあたる神武天皇はこの青島によく遊んだのかも知れません。
そして青島のビロウのジャングルに触れるとき神聖な思いに満たされたのかも知れません。

長じて東に赴いて、国を平定してその頂点の立場で祭祀を行うとき、青島のビロウは特別に神聖なものになっていったのかも知れません。






毒があることからその名がついた「クワズイモ」。
葉の形はサトイモに似てはいますがイモの部分はあまりありません。

ビロウ以外の植物は、このクワズイモをはじめに106科217属261種の亜熱帯植物が自生していて、島が完全な生態系として成立していることが分かります。






岩石は出来方によって3種類あります。
火成岩、変成岩、堆積岩。

「鬼の洗濯岩」は堆積岩の部類で、砂利や砂、粘土が沈殿したものに圧力がかかって生成した比較的軟らかい岩石です。

それも、砂岩と頁岩(けつがん)が重なり合っていて、浸食されやすい砂岩が削られて棚ができます。

聞きなれない頁岩とは大まかにいえば、粘土が固まった岩で、扁平に割れ易い性質の岩で、その扁平に割れ易い頁岩と浸食されやすい砂岩の層を持つ岩が何らかの外力(地震)で隆起して波の浸食でできたのが「鬼の洗濯岩」なのです。

かの岩を洗濯板に使うくらいですから、かなり体の大きな鬼が、虎皮のパンツや頭巾を脱いで、ゴシゴシ洗って、鬼の鉄棒で叩いて洗濯するという、ユーモラスな光景を連想しますか。
桃太郎に登場する鬼も高千穂町の伝説の鬼八も、いずれもそんな家庭サービス、ましてや手洗いで洗濯などをするようなキャラクターにはとても見えませんが、距離を隔てて見るかの岩は正しく「鬼の洗濯岩」のネーミングがぴったりの岩です。

鬼の洗濯岩は、青島から堀切峠の先まで見ることが出来きますが、干潮のときには場所によっては100m以上の幅で出現します。






























青島の波状岩は壮大です。

億劫の時間を経て造りあげられた自然の造形に圧倒されます。

青島の波状岩の上に立ち、地球の、宇宙の営みの壮大さを思いをめぐらせてみませんか。








■ 青島紀行     (雑記帳 file no.15)

青島に行った。
2006.05.20以来だった。

まずは青島に訪れる人の大方がそうであるように島に架かる橋の手前から島やその周辺の波状岩を眺める。
そして、左に広がる「青島海水浴場」とその先に曲線を描く砂浜と緑の松林を見る。

橋を渡りながら右手の波状岩を見て、そして、橋の左側に寄って反対側の波状願を見る。
橋を渡り終えるとすぐ右側に奇岩が見える。

地震を引き起こすメカニズムによって隆起させられた岩盤にイレギュラーに付属していて、層を成して連なる本体の岩盤にくっついたままで海上に姿を現したような突起した岩。

まるで化学薬品を垂らして溶解したのかと思うような、そう、アーノルドシュワルツネッガーの映画の、何度撃ち砕いても、その度に水銀が表面張力によって丸く寄せ集まってきて復元するような、あの異星人に似て、不気味な形状をしている。

突起した岩の本体にあたる一列の波状岩(泥岩)は、その付属の岩を含めて周辺の波状岩とは違い、異彩を放つ。

これら、青島の「奇型波蝕痕」は国の天然記念物に指定されている。

青島神社の社殿の前から右へジャングルの中へ入って行く道がある。
その奥まったところに「元宮」があり、青島の中央部にあたるという。

そこは古代において祭祀が行われていた場所とかで、勾玉とか土器とかが出土するらしい。
今回は青島の自然が目的なので、その点は別に譲るとして、その「元宮」への30m程度の細い道は鬱蒼と茂るビロウの林の中にあって、外周からしか観ることができない青島の中では唯一ジャングルの中を見ることができる道になっている。

4,500本とか5,000本とか言われる青島のビロウを含めた亜熱帯性植物群は国の特別天然記念物に指定されている。

「元宮」の参道を歩くと、また島の周りを歩くと、ビロウの幼樹がどこそこに見られる。
毒を持つ「クワズイモ」などを含めて、自然を守りながらこの亜熱帯性植物群を多くの観光客に見せるようには出来ないものか。

青島の波状岩は壮大である。
日向灘との接線まで行って間近に見る「鬼の洗濯岩」は壮大である。

自然を守りながらこの「鬼の洗濯岩」をもっと多くの観光客に見せるようには出来ないものか。
貝類は泥岩が嫌いで、ゆえに細かな藻しか付着せず極めて滑りやすい。

2kmある青島の波状岩を一周する途中で転倒してジーパンの布を岩と脛の摩擦で引き裂いた。
あまりの激痛にしばしその場にうずくまって息を殺して耐えた。

ジーンズの膝の部分を横に裂いた今流行(はやり)のファッションみたいになった。

まだこの島に名が無いとしたら「足摺島」としたい。

四国高知は足摺岬で九州宮崎は足摺「島」…  誰が足を引き摺ったかが問題だ。(2007.07.30) 
 


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