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霧島

霧島連山

霧島連山

霧島連峰は霧島屋久国立公園にあって、大小23の火山からなり、最高峰は韓国岳(からくにたけ)の 1700メートルで、高千穂の峰(1574メートル)、新燃岳(1420メートル)などがあります。
大きな火口をもつホマーテ型(すり鉢型)火山の韓国岳、大浪池、新燃岳などがあり、火口湖となっているものは、大浪池、六観音池、白紫池、大幡池などがあります。
さらに、成層型火山として高千穂の峰、マール型として御池、砕屑丘としての硫黄山などと、多彩な火山の形がここ霧島連峰には見られるのが特徴です。
一般に霧島という場合には高千穂の峰をさすことが多いのですが、その形が鳳凰が羽を広げたようなシンメトリの美しい姿をしていて、霧島連山の本嶽と呼ぶにふさわしいものです。
霧島山麓には霧が発生しやすく、古くから都城の地を「霧海」といい、その霧の海に浮かぶ姿から霧島と名づけたと伝わっています。
1959年に新燃岳が噴火して以来、霧島連峰の諸火山は比較的平静な状態が続いていて、新燃岳、御鉢、硫黄山などで噴気活動がある程度です。
しかし歴史的には、阿蘇山や浅間山に匹敵する火山活動をした実績のある霧島連峰は、いつ再びその活動を再開するかは予測がつかない活火山の連なりです。



高千穂の峰

高千穂の峰は鹿児島県との県境にありますが、頂上は宮崎県にあり、霧島連山中で二番目の高い山です。
高千穂の峰は霧島連山の南東の端にあって御鉢(1520m)、二子石(1319m)が付随していて、さらに東部の麓には神武天皇の伝説の地、御池があります。

成層火山は、噴火を何度も繰り返し、そのたびに噴出物が出て、それが積み重なって高い山になってきたもので、富士山は成層火山の典型的なタイプの形をしています。
日本各地で○○富士といわれる山の多くは成層火山で、一般的に頂上は凹んでいるケースが多いのが特徴ですが、高千穂の峰場合は円錐状の尖った山頂になっていて、山頂近くまで行けば、何度も繰り返した噴火が作り出した美しく赤茶けた見事な地層を見ることができます。



左から「二子石」、「高千穂の峰」、「御鉢」、「中岳」


御鉢

御鉢は直径約600m、火口の深さ約300mのホマーテ型の噴火活動中の火山で、今も火口の底からは噴気があがっています。
天平14年(782)以来36回を数える噴火爆発を繰り返し、もともと高千穂の峰と御鉢の鞍部の高所にあった霧島峯神社は何度も焼失して、その結果霧島東神社と霧島神宮の二社に分かれることになりました。


二子石

御池と二子石

二子石は直径約500mの火口がありますが東側の侵食が激しい状態です。
御池は直径約970m、水深101m湖岸の標高約300mで霧島連山の中の最大の火口湖です。
御池は霧島連山の中では比較的新しい時代の形成で、その直径1kmにも及ぶ火口はただ1回の大爆発でできたことがわかっています。
御池の南西にある小池は御池と形状が似ているために爆裂火口と間違われることがありますが、二子石の爆発時に流れ出た溶岩で堰き止められてできた池です。
御池一帯は深い樹海となっていて、野鳥の森としての指定を受けています。


・手前から中岳・新燃岳・獅子戸岳・韓国岳そして大浪池と続く

・獅子戸岳(左)から大幡山、大幡池、そして夷守岳のライン



写真は直径約750mの大きな火口をもつホマーテ型(すり鉢型)火山の新燃岳(1420m)と右に獅子戸岳、中央奥に韓国岳と並んでいる様子です。
ここは現在でも最も活発に噴気が上がっている火山ですが、山頂より190m下の火口底には酸性の濃いエメラルド色の水が溜まっているのが特徴になっています。
最近の火山活動としては昭和34年に2回の爆発がありました。
新燃岳から中岳にいたるなだらかな斜面にはミヤマキリシマの大群落がありますが、そのときの爆発によって霧島連山随一といわれた新燃岳周辺のミヤマキリシマはかなりの打撃をうけました。
それ以前の新燃岳は美しい水をたたえ、火口壁には緑の樹林もあったといいますから、同じホマーテ型(すり鉢型)の現在の大浪池のような姿をしていたのかも知れません。


ミヤマキリシマ

ホマーテ型(すり鉢型)火山の大浪池(韓国岳から)

韓国岳からの新燃岳

新燃岳の林道に咲く「ミツバツツジ」

ミヤマキリシマとともに初夏の霧島連山を彩る主役のひとつがミツバツツジです。
鹿児島県側の新湯温泉から林道を約2時間歩くと新緑の中にピンク色のミツバツツジの花のトンネルが出現します。
ミツバツツジの時期は5月の中旬で、花のトンネルは長さ数百メートルにわたって楽しむことができます。

新燃岳はえびの高原と高千穂河原を結ぶ旧南霧島有料道路からは見ることができますが、下から見る新燃岳の姿は登山して見るそれと較べると違いが大き過ぎます。


えびの高原からの韓国岳

韓国岳は霧島連山の中で最高峰(1700m)です。
北西と南東に爆裂火口があり、北西の火口は山腹を大きく破壊しています。
山頂には直径約900m、深さ約280mの大きな火口をもっていて、火口壁は急な断崖となって火口の底まで落ち込んでいます。


韓国岳に咲くりんどう

韓国岳の火口

硫黄山

麓に群生する赤松

北西部爆裂火口の麓には硫黄山があって激しい噴気が上がっています。
硫黄山の周辺には噴火で飛ばした火山弾が多くあり、そのために賽の河原とも呼ばれています。
また、韓国岳周辺は針葉樹と落葉広葉樹の自然林が広がり、とくに北側の山腹の赤松千本原には樹齢250年以上の赤松林が異彩を放っています。


御鉢から桜島(中央)を望む

◇霧島連山紀行

「霧島連山」ページのページをつくろうと思い立ち、霧島にあわせて三度登った。
初回は5月のミツバツツジの時期に新燃岳の麓から新燃岳、中岳、高千穂河原のコース。
二回目は9月の下旬に民話のテーマの「大浪池」の撮影を兼ねて、えびの高原から韓国岳。
最後の10月は高千穂河原から高千穂の峰。

久しぶりにズルズルと滑る御鉢の斜面を這うように登りながら考えた。
日本で最初に新婚旅行をしたのは坂本竜馬とその妻お竜だった。そして新婚旅行で高千穂の峰に二人で登った。と、かって司馬遼太郎の「竜馬がゆく」で読んだが、竜馬夫妻はこの山を草鞋(わらじ)で登ったのだろうか。それとも、里人が山に登るための履物を用意してあげただろうか。

高千穂の峰から御鉢、さらに高千穂河原へと下るときには三度も四度も滑って転んで、そのたびに思わず自分で自分を笑ったが、竜馬もお竜も自分みたいに転んだのではないか。
転んだお竜をみて竜馬が笑い、お互い顔を見合わせて子供みたいに無邪気に笑いあったのではないか。

「御鉢」まで登ると眼下に狭い国分(市)の平地が見えてその先に錦江湾が広がりそこに桜島が浮かぶように立つ。
空は抜けるような青空なのに、地上から桜島の頂上よりすこし上のところにかけて紫の霞がたなびいている。
肉眼では桜島はよく見えるのだが、写真のために、吹き始めた北よりの風が霞を掻き消してくれないものかと期待して先へ進む。

桜島はその裾が東に延びて大隈半島につながり、そこから北に曲線を描いて錦江湾の西の薩摩半島に至っているのがよく見える。薩摩と大隈の二国が、日本が国として始まった当時は日向の一部であったことがここに立つと地理的によく納得できる。つまり霧島連山のぐるっと周辺が「日向」であった、と、判りやすい。

天気がいいと、さらにその先の屋久島の宮之浦岳(1936m)まで見渡せて、北は市房山(1721m)からさらに、途中に遮る高い山がない雲仙の普賢岳(1359m)までも見えるという。

なぜか突然、百人一首の権中納言敦忠の歌の下の句が頭をよぎった。
比べたのは恋心の今昔ではない。

かって学生の時分にはこのような御鉢から高千穂の峰などは楽々登って、高千穂河原に下りてすぐに中岳、新燃岳、獅子戸岳、さらに韓国岳からえびの高原へと縦走していたものだが、そんなの当時の自分を思い出していた。
理屈は一人前に言ってはいたが、ほとんど(ものを)「思わざりけり」であったのだろうな…。
などと、たまに大自然の中に孤独でいると意外なフラッシュバックがある。

10月は、まだ真っ暗な朝に起きて出発したが、空には煌々と星が輝いていて快晴であった。

さかのぼって5月のときは、朝は同じように快晴であった。
目的はミツバツツジと新燃岳と高千穂の峰の写真撮影。
だが、途中の林道のミツバツツジの花のトンネルを撮って、そして新燃岳に登りついて韓国岳を撮るまでは空は十分に澄んでいたが、新燃岳を降りて中岳に向かうころから少し空気が霞んできた。

高千穂の峰とその向こうの二子石と手前の御鉢が斜めに並んだ姿を、至近から撮りたいと思っていたのだが、残念なことに撮った写真には紗がかかってしまった。

それよりくだって9月のときは、同じく朝のうちは快晴であったので、このチャンスに韓国岳から大浪池と新燃岳さらに高千穂の峰を撮影しようと、昼を過ぎて出発した。

ところが、それまでは快晴であったのが、えびの高原やその周辺を上から見た写真を撮りながら登っていった結果時間がかかってしまい、韓国岳の頂上付近では雲が次第に多くなった。

そして、頂上について火口の底を2~3枚撮ったと思ったら、北西の方角からまるで孫悟空が乗っているような猛烈に速い觔斗雲(きんとうん)のでかいやつが、瞬く間に辺りを包んでしまった。

それまでは暑くて汗を流しながらの登山だったが、すぐに体が冷えて寒くなり、流れてくる雲から身をかばうために岩陰に隠れた。この雲が過ぎ去ったらクリアな新燃岳や高千穂の峰を見ることができるかもしれないと考えて、しばし独り頂上で待った。

40分ほど経過したら、獅子戸岳から新燃岳の北西の斜面が徐々に見えてきた。
全容が見えているときよりも、雲の着物の裾をめくるように現れてくる新燃岳のボリュームがかなり大きいことに気がついた。

二つの山の左の遥か先に見える高千穂の峰は新燃、獅子戸とは反対側の斜面から姿を現しはじめたが、二子石から徐々に現れてくる高千穂の峰は、これも雲のブラインドからなかなかその姿が見えてこず、遠くで見ていても山は大きいと感じた。

そういった経験もあって、10月の登山は、空気が澄んでいて遠くまで見えることがなにより希望であったので、はやる気持ちを抑えながら、夜が次第に明けて空があかるくなるのを、雲の有無や位置そして空気の澄み具合などを気にしながら見つつ、霧島に近づいていった。

秋の空はその期待にほぼ応えてくれた。

御鉢の火口を歩くとき、何からも遮られることない大陸直接の風に帽子も体も吹き飛ばされそうになった。
昨日までは下界では半袖で過せたものを、手と耳が千切れるほど冷たくて、もう一気に真冬になったような風が吹いた。

それでも桜島にかかったパープルの霞は最後まで吹き飛ぶことはなかった。


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