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竜巻

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延岡の竜巻ドキュメント 2006.09.17

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2006年09月17日は台風が宮崎地方にかなり接近

するという予報が出ている日曜日だった。

私は午前中を延岡市で過ごし、風が強くなった14

時過ぎには人に会うために日向市に向った。

門川漁港のところである人から電話があった。

経営しているアパートのサッシが飛んだという。

私は知り合いの大工に電話して材料を適当に準備

して現場に行ってくれるように頼んだ。

着替えのために帰宅すると、テレビが「延岡市の

南延岡駅の近くの日豊本線で列車が横転してい

るもよう」と伝えたように聞こえたがはっきりと聞き

取れず、気にしながらも再び外出した。

大工が『通行止めばっかりで現場に行くのに往生

した。被害はアパート全体に及んでいて1人や2人

の手では到底間に合わない』と言ってきた。

大工は延岡市内を交通規制をかわしてぐるぐる車

で走りながらも台風の被害としか考えていないよう

だったが先刻のニュースと繋がった。

もしかして延岡は大変なことになっている。

日向市で約束の人との仕事の話は気もそぞろで

集中を欠いた。

するとそこに「延岡がなんか大変らしい」と言いな

がら外から人が入ってきた。

「やっぱりそうか」

話を切り上げて車に乗り、延岡に向かった。

延岡までは距離で約20km、時間で約30分。

台風は最も激しい時を迎えていたので対向車も少

なく、約20分で延岡に着いた。

延岡市塩浜町との平原町を分けている国道10号

線の坂を下ったらいつも見慣れている建物がほぼ

全壊して道路を塞いでいた。

詳細を見たいと思ったがアパートが優先だった。

とりあえず助手席のデジカメをとって急いで2回

シャッターを押した。

一見して被害は甚大だったが、台風の強い最中に

あったので見物のための渋滞はなく、車の通行は

スムーズだった。

そう感じたのも束の間のことで、そこからは交通

規制のために全く前に進まなくなった。

目的のアパートまでは直線距離で約700m。

通常であれば5分で着くはずの道は規制されてい

てどうにも進まない。

車を諦めようと駐車場を探すと、日頃は人気があ

ってお客が多いパチンコ屋の駐車場がガラガラに

空いていた。

車を停めてデジカメを持ってヘルメット被って現場

に向かった。

警察官が出入りを規制している所を入って行き、

小さな川沿いの道に出ると車が横転していた。

その先には二人の人が何やら話をしているように

見えるのを除けば車も無く、ただ不気味な光景だ

った。

車が横転しているそばの小さな橋を渡った。

川沿いに並ぶ住宅は軒並み被害を受けていた。

南側に回ると、北側より一層被害が大きかった。

目的のアパートのそばまでくると田圃の中に車

があった。

10数メートル飛ばされていた。

アパートの敷地では、他の車も転がっていた。

建物はといえば、その被害の凄まじさにどこから

見ていっていいか分からないほどであった。

田圃の中にあった車は、竜巻に持ち上げられて

鉄骨造の建物にぶつかって、さらに田圃まで飛

ばされたことがわかった。

南側のサッシやガラスは全滅。

アルミの枠ごと捻じ曲げられていた。

部屋の中は割れたガラスが散弾銃の弾のように壁

や建具に突き刺さり、住人の流した血液がどこそこ

付着していた。

住人は何が起きたのか分からないまま、浴室や便

所に命からがら逃げ込んだようだった。

列車の横転している光景は不思議な現象を見てい

るようだった。

JRの社員も手の下しようがなく、起こしてもらえな

い列車が諦め顔で横たわっていた。

延岡市の中心街、まず船倉方面に行くことにした。

船倉の被害は大きかった。

また、紺屋町にある、延岡ではトップクラスのホテ

ルの南面のガラスはほとんどが割れていた。

ホテルの従業員やお客さんのことが心配された。

列車を横転させた突風はここでも強いエネルギーを

維持して通過していった。

竜巻の被害は山下町やその先まで延々と続いていた。

誰も初めて見る光景だった。

この日延岡市全体が騒然としていたが、翌日からはボランティア500人が市内で活動した。

2006年9月17日に起こった延岡の竜巻は、建物などの損害の程度から考えれば、人的な被害はもっと多く出た

可能性があった。

災害復旧は年末の頃にはだいたい終った。

亡くなられたかたに心からご冥福を祈りたい。






竜巻で最大級 1811戸損壊

 竜巻による延岡市内の犠牲者は3人に上った。
浜町のホームセンターで男性が倒れた棚の下敷になり死亡。
近くの畑では女性が亡くなった。
山下町では男性が自宅の2階で瓦やガラスの片などを受け死亡した。
死者が3人出た竜巻は、気象庁が71年に観測を開始して以来初めてという。

 
別府町でJR日豊本線の特急列車が横転し、運転士と乗客の計7人が軽傷を負った事故を含め、けが人は重傷3人、軽傷140人に達した。
 建物被害は計1811戸に上り、国内の竜巻被害では過去最大級だ。
 上陸地点に近い緑ヶ丘地区では、約360戸の建物が被害を受けた。
市立緑ヶ丘小学校では、巻き上げられた瓦の直撃を受け、体育館の窓ガラス十数枚が割れた。
 近くの自動車整備・板金工場は2階の事務所が抜け落ち、1階の整備場ががれきで埋まった。
船倉2丁目の市消防署も損壊。南側の窓ガラスの大半が割れ、書類や備品が吹き飛んだ。
 また市内では17日夜、最大136世帯230人が避難所で過ごした。大規模な停電もあり、最大時は約1万1600戸。
翌18日も一部の信号機は消えたままで、警察官が車を誘導し、午後7時すぎにようやく復旧した。 
市によると、市内の商工業や農業などの被害は計12億9400万円(住宅と旭化成関連を除く)。
内訳は商工11億8870万円、公共施設1684万円、農業8847万円、水産6万円。商工の被害の6割にあたる7億1千万円が商店街がある五ヶ瀬川北部の地区に集中した。



地  区 住宅 非住宅 合計
祝子川以北 尾崎町 14 5 19
祝子川南部 山月町、富美山町 135 4 139
五ヶ瀬川北部 山月町、富美山町、山下町、栄町、恵比須町、祇園町、瀬之口町 401 44 445
五ヶ瀬川南〜大瀬川北 祇園町、瀬之口町、紺屋町、新町、船倉町1〜2丁目、須崎町 250 59 309
大瀬川南〜南延岡駅 中島町1〜4丁目、別府町、浜町 356 23 379
南延岡駅以南 浜町、緑ヶ丘2〜5丁目 496 24 520
合  計 1652 159 1811
                      朝日新聞より



県内の発生数 全国4位

 延岡市を襲った竜巻の強さについて、宮崎地方気象台は「F2」と推定している。国内でこれより強い竜巻が観測されたのは90年12月(千葉県茂原市)と99年9月(愛知県豊橋市)の「F3」の2例だけだ。
 
竜巻は海上で発生し、9月17日午後2時3分、塩浜町1丁目付近に上陸した。気象台によると、幅は最大250m、時速約90kmで市街地を北北西に約7.5km縦断し、尾崎町付近で消滅した。

6割が台風原因

 
県内で71年〜05年に発生した竜巻は22件。鹿児島県(40)、沖縄県(38)、北海道(28)に次ぎ全国4位の多発地帯だ。月別では9月が7件で最も多く、8月が5件、10,11月が各3件。原因別では6割強の14件が台風によるものだった。
 
一般的に、竜巻は台風の進路の北東側で発生しやすい。さらに県の東側が海岸線で風が吹き込みやすいことも、多発の要因とみられる。



予測研究地道に

 
竜巻の発生予測は「ほぼ不可能」(同気象台)なのが実情だ。
 
だが地道な研究は進んでおり、東京大学海洋研究所の新野宏教授(海洋大気力学)は「竜巻が起きやすい台風と、そうでない台風がある。まずはそれを見分けることが重要だ。特に、地表と上空の風速の差が大きいと、竜巻が起きやすい」と指摘する。
 
また気象庁は現在、「ドップラーレーダー」の全国配置を進めている。電波を積乱雲の中の水滴に反射させ、豪雨を予測するのが主目的だが、新野教授は「副産物として竜巻を起こしやすい積乱雲の特徴をとらえられるかもしれない」と竜巻予測に役立つことを期待している。

藤田(F)スケールは、竜巻やダウンバースト(下降気流)などの突風の風速を、建物被害から推定するための指標。
竜巻研究者の故藤田哲也・シカゴ大学名誉教授が71年に考案した。
「F0」〜「F5」の6段階で、国内ではこれまで「F3」が最高。建物の強度や風の吹き方により被害は変わるため、Fスケールの風速が実際の風速とは限らない。


      藤田(F)スケールの風速と被害      
            風速   (m/秒)  被   害
F0 17〜32 煙突、テレビのアンテナなどが壊れる。小枝が折れる。
F1 33〜49 瓦が飛び、窓ガラスが割れる。木の幹が折れる。
F2 50〜69 住宅の屋根がはぎ取られる。大木が倒され、ねじ切られる。自動車が吹き飛ばされ、列車が脱線することもある。
F3 70〜92 壁が押し倒され住宅が倒壊。列車が転覆し自動車は持ち上げられ飛ばされる。森林の大木も多くが折れるか倒れる。
F5 93〜116 住宅がバラバラに飛び散る。鉄骨の納屋もペシャンコ。列車が飛び、自動車は何十メートルも飛ぶ。1トン以上の物体が降る。
F6 117〜142 住宅が跡形もなく吹き飛ばされる。列車が持ち上げられ、とんでもないところまで飛ぶ。数トンもある物体が飛んでくる。
                  朝日新聞より

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