日南海岸国定公園の中にある都井岬の雄大な自然の中で、種を保存し続けている天然記念物の御崎馬は、日本の在来馬で、約2000年前に中国から導入された馬がその起源とされます。
推古天皇は612年の正月7日、蘇我馬子と宴の席で歌のやり取りをして、「眞蘇我よ、蘇我の子らは、馬ならば、日向の駒、太刀ならば、呉の眞刀、」と返歌した当時折り紙つきの名馬の子孫達はその大らかな命を都井岬で見せてくれます。

志布志湾
都井岬は日南海岸国定公園の南端の、志布志湾の東の端に位置するところにあって、長さが4km、幅が2kmの半島です。
西南西約30kmの所に、ロケットの発射基地で有名な「内之浦」があります。
写真は都井岬から内之浦方向の景観です。
広い志布志湾の彼方は、内之浦のある大隈半島の北側が平(低)地になっているために、ここは九州の東側の太平洋岸であるはずなのに太陽が海に沈んでいくように見えます。

半島の北側
この半島は海から山が絶壁で盛り上がった高い山が数個連なって丘を形成しています。
丘には野生馬が生息する場所になっていて、そこを御崎牧場と呼んでいます。
御崎牧場は面積500ヘクタールという大変大きな牧場です。

御崎馬は道産子、木曽馬、対馬馬、トカラ馬などと同じ日本古来の純粋馬です。
昭和28年に、「自然における日本に特有の家畜」として、国の天然記念物に指定されました。

御崎馬は、白い鼻筋の模様や足首の白毛がなく、頭が大きく、頸は短く、背が低く短足、体長は130センチメートル前後で、何やら日本人の身体的特徴をそのまま馬にしたような馬です。
しかし粗食に耐えることができて、寿命は長く、力が強いので農耕に適しているという特性があります。
この日本という同じ風土の場所に永く何世代も生きていくと、馬も人間も特性に共通するところが出てくるのでしょうか。

岬の中で馬がよく集まる所は二ヶ所あって、一つは小松ヶ丘(280m)、一つは扇山(293m)。
朝になると馬たちは林から出てきて丘にのぼります。
丘の斜面に縞模様がありますが、長い年月の間、草を食べながら馬たちが横に横に歩いた足跡で自然にできた「馬の道」です。

御崎馬の世界は縄張りがあって、小松ヶ丘の馬は扇山に行って草を食べることはありません。
また、二つの丘の集団にはそれぞれボスがいて統率をしています。
御崎馬は3月から5月にかけて15頭前後の子馬を生みます。
中には8月を過ぎてから生れる子馬もありますが、こうした時期に生まれた子馬は、台風の「風雨や冬寒さのために生き残るのに苦労をします。
普通に生まれた子馬の場合でも梅雨時期の病死、餌の不足、怪我などで生き残る数は少ないのです。
子馬は、本格的に草を食みはじめる前に母馬の排泄されたばかりの新鮮な糞を食べますが、これは消化に必要な腸内バクテリアを摂取するためといわれています。

少なくとも3歳までには群れを離れて、雌は別のハーレムに入るか若い雄馬と新しいハーレムを作ります。
雄の若い馬は、すぐにはハーレムを作るだけの力がないので、雄だけの群れに入って力を養い機会をじっと待つことになります。
御崎馬の社会は、一頭の雄馬に数頭の雌馬、その子供たちといった家族単位で構成されています。
雌馬は本能的により強い雌馬を求めるので、ほかのハーレムへの雌馬の逃亡を防ぐために、春の繁殖シーズンになると雄馬は雌馬を『監視』するような行動がみられます。
雌に少しでもそのような気配があると、駆け寄っていって群れに連れもどそうとします。
群れと群れが接近すると、雄馬はたがいに相手の群れの雄馬と相まみえ、『競りあい』と呼ばれる闘争動作が始まるのです。
たがいに鼻をつきあわせ、前肢で土を掻き、後肢で立ち上げって噛みあい、相手が立ち去るまで激しい戦いを繰り広げます。
ところが案外雌雄の馬の配偶関係はかなり安定していて、雌雄どちらかが死ぬまで続くこともあるといいます。

都井岬のソテツは、1921年(大正10)天然記念物として5.5haが国指定され、さらに1952年(昭和27年)3月には特別天然記念物「都井岬のソテツ自生地」となりました。
現在約5000株の蘇鉄が自生しています。
御崎馬たちは蘇鉄の森も生活する場所の一つとしています。

都井岬灯台は都井岬の先端の標高250mの断崖の上に立つ白亜の大型の灯台で、「日本の灯台50選」に選ばれています。
約45km先の海上を照らすという53万カンデラの強力な光で、座礁しやすい暗礁が多くある岬の沖を行き交う船の安全を守っています。
灯台の最上階は展望室になっていて、九州で唯一の、内部が見学できる観覧灯台です。
また、6月1日から9月30日の間は、ここ都井岬でしか体験することができない「飛び魚すくい」が行われます。 同市の宮浦港や立宇津港を船で午後8時ごろ出港して、約15分でポイントへ到着します。 海中に集魚灯を沈めると、トビウオが姿を見せ始めて、観光客は水面下を泳ぐ魚影を目がけて大きな「たも網」を差し入れてすくいます。
これを別名太平洋の「金魚すくい」と言います。
すばしっこい魚ですから簡単には捕まりませんが、首尾よくすくった飛び魚はすべて持ち帰りができます。
因みにこの「飛び魚すくい」の船は相乗りと貸切りがあります。
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