ベブがハホ

 
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【祭り:ベブがハホ】

 


ベブがハホ
とは高原町の狭野神社で毎年2月18日に行われる苗代田祭のことで、土地の人の言うベブがハホが一般に知られている。

ベブとは牛のことで、ハホとは身重の主婦を意味する地元の方言である。

苗代田祭りは宮崎県下では各地で行われているが、狭野神社の苗代田祭りは最も古式を残した祭りである。

祭りは午前10時頃神主による祝辞奏上や玉串奉献などからはじまる。

11時30分頃になると、3人の田主と呼ばれる農夫が出てきて反閇(へんぱい)(3歩進んで3歩下がる動作)をしながら歌を歌う。

はじめの田主は

  浪花津に咲くやこの花冬ごもり

  今を春べと咲くやこの花

二番目の田主は

  桜木をくだきてみれば花はなし

  来る春毎に種子をまくなり

三番目の田主は

  春来たれば四方の山川井出にせき

  やろうやらじは小山田の堰

それが終わると顔に炭を塗った10人ほどの田人や、上下男(かしたでかん)という下男が登場してきて面白おかしく話を進める。

太郎次という親方は「上とおまる4千町歩、中とおまる4千町歩、下とおまる4千町歩、合わせて1万2千町歩、見回りして遅うなり申し候」などと言う。

田人たちが田打ちの真似をしながら鍬で他の田人や親方に滑稽な悪戯を働いて観衆の笑いを誘い、大騒ぎに発展する。

そうするうちにベブと呼ばれる神牛の登場を催促すると木彫りのベブが出てきて代掻(しろかき)をする。

ベブのあとからはコジュドン(親方の奥さんで主婦という意味)が登場するが出産間近の身重の女である。

コジュドンは籾を入れた折敷(三方)を頭に載せて言う。

「稲倉岳より千杷の稲を刈りおろし、こいだり搗いたり釜借ったり遅くなり申し候」

自慢に加えて「こいだり搗いたり」は意味が深い。

下男がコジュドンにつきまとい、卑猥な所作をして、それを止めようとする親方との間で滑稽なやりとりがある。

そこに神主が登場してコジュドンから籾を受け取って斎田に蒔く。

斎田に蒔く間に庭立ちの歌が唱和される。

アノ蒔く苗代に アノ中しくべくよ アノ川の向かいなるの その草もよし アノ倉の脇なるの 庭草もよしの

アノ門田にあるの げげ草もよしの アノ池端なるの この草もよしの アノ川の端なるの アノ草のよしの

川の向こうでも、倉の脇でもどこでも楽しいと、正に五穀豊穣を祈る祭りに相応しい祝い歌である。

狭野は神武天皇の幼名をサノノミコトといい、生誕の地としての伝承の地である。

狭野は神武天皇の誕生や東征のときの名残の地名が随所にある土地柄である。

稲作農業民族である天孫降臨一族が一時期ここに居を構えたことがこうした苗代田祭りの古い形が残ってきた原因の一つであるとは考えられないだろうか。

 
 
宮崎県西諸県郡高原町の狭野神社の「ベブがハホ」

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