【天の安河原】
古代の日本人の数の数え方は親指で同じ側の手の指を一つ一つ押さえて、ひーふーみーよーと4まで数え、4以上数える場合はもう一方の手を使っていつむーななやーと数えていたという説がある。
その数え方だと8が最大の数で、日本人にとって8とは多いという意味であり、八百万(やおよろず)となれば無限に多いという意味であったという。
もちろん、八百万の神は神様が八百万(人)いるということではなく、森羅万象の全てにたくさんの神が宿るという考え方である。
天照大御神( アマテラス)は弟の建速須佐之男命(スサノオ)の態度に怒り、天岩戸に引き篭ってしまい、世の中は闇に包まれた。
困り果てた八百万の神は天の安河の河原に集まり、どうすればいいか相談を始めた。
そして知恵の神である思金神(オモイカネ)の案により、さまざまな儀式を行った。
先ず、常世(とこよ)の長鳴鳥を集めて高らかに鳴かせ、高天原の夜がまだ明けぬ間に夜明けを告げさせた。
そして、天の安河の川上の鉱石を採り、鍛冶の神である天津麻羅(アマツマラ)を探し、鏡作りの神である伊斯許理度売命(イシコリドメ)に命じて八咫鏡(やたのかがみ)を作らせた。
勾玉作りの神である玉祖命( タマノオヤ)に命じて、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作らせ、祭祀を司どる神である天児屋命( アメノコヤネ)と布刀玉命(フトダマ)を呼び、思金神が考えた天照大御神を岩戸から出すための案で良いかどうかを占わせた。
そこで、賢木(さかき)を根ごと掘り起こし、枝に八尺瓊勾玉と八咫鏡と布帛をかけ、布刀玉命が御幣として奉げ持ち、天児屋命が祝詞(のりと)を唱え、力の神である天手力男神(アメノタヂカラオ)が岩戸の脇に隠れて立ち、いよいよ準備が整った。
芸能の女神の天宇受賣命 (アメノウズメ)は岩戸の前に桶を伏せて足で踏み鳴らし、神憑りをして、さらには胸をさらけ出して裳の紐を陰部までおし下げて踊った。
すると、八百万の神が一斉に笑い、その笑い声が高天原中に鳴り轟いた。
その笑い声を聞いた天照大御神は外の様子を見るために天岩戸の扉を少し開け、「自分が岩戸に隠れて世の中は闇になっているというのに、なぜ、天宇受賣命は楽しそうに躍り、八百万の神は大声で笑っているのか」と問うた。
天宇受賣命が、「貴方様より貴い神が表れたので、それを皆で喜んでいるのです」というと、天児屋命と布刀玉命が天照大御神の前に鏡を差し出した。
鏡に写る自分の姿がその貴い神だと思った天照大御神が、その姿をもっとよくみようと岩戸をさらに開けたとき、隠れていた天手力男神がその手を取って岩戸の外へ引きずり出した。
すぐに布刀玉命が注連縄を岩戸の入口に張り、「もうこれより中に入らないで下さい」といった。
こうして天照大御神が岩戸の外に出てくると、世の中は一度に明るくなった。
八百万の神はさらに相談し、建速須佐之男命を高天原から追放した。
天安河原(あまのやすかわら) は、天岩戸神社の西宮から岩戸川を500mほど遡った所にある河原で、天照大御神の岩戸隠れの際に八百万の神々が集まって相談した場所であると伝えられている。
河原の中央部にある仰慕窟(ぎょうぼがいわや)と呼ばれる洞窟には天安河原宮があり、思金神を主祭神として八百万神が祀られている。
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