琴引の松(琴弾の松)は高鍋駅の西方の蚊口浦にある。
昔、ここに弾琴の松という老樹があった。
周囲は一丈(約3メートル)あまり、枝は数十歩に延び広がって、それは恰も大きな傘を広げたようであったという。
琴引の松は明治の中頃、防風で折れて、やがて枯れてしまった。
白波のよりくる糸を緒にすげて
風にしらぶる琴引の松
源重之(平安時代中期の歌人)が日向守であったとき、「日向の国に琴引の松あり岸に波寄す」と題したものの中に出て来る歌である。
「琴引の松」と伝わるものは、ここの他に鵜戸神宮(日南市)と土々呂(延岡市)にもあった。
鵜戸神宮のものは元禄時代に鵜戸山別当隆實が植えたもので、土々呂のものは「一の宮巡詣記」の延實3年9月の条に、「12日縣(あがた=延岡の古称)出でて土々呂を通りけるに、磯邊に古りたる松あり、木のもとに石をたて、夫木集の歌を記せり」とし、
石ぶみにのせぬる歌や琴ひきの
松のしらべのたぐひなるらん
と詠んでいる。
いずれの琴引の松も枯れて今はない。
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